春が終わりかけた夜、駅前の古いバーから流れてきたギターの音が、妙に胸にしみた。湿った風に混じる煙草の匂い、少しぬるくなった缶コーヒー、ネオンににじむ小雨。その全部が、忘れたはずの思い出を静かに引きずり出してきた。君と並んで歩いたあの帰り道も、たしかこんな空気だった気がする。

うまくいかなかったことを誰かのせいにできたら楽だったのに、たぶん悪かったのは、言葉にしなかった気持ちと、...