先週は、転職したり、好きなことを仕事にする前に、「まずは今の仕事でいいパフォーマンスを出すことことの大切さ」についてお伝えした。
その最も効果的な方法は「今の仕事を好きになる/楽しむ」こと。
なぜなら、人間を含む哺乳類の脳と体がそういう仕組みになっているから。
先史時代の祖先の「働く」とは、「食べるための狩猟や採集」「家事や子育てといった暮らしの営み」だった。
そして、その「働くこと」すべてを、楽しんでいたと言われている。すべての「働く行為」には〝喜び・楽しさ〟があり、脳内では「報酬系 」と呼ばれる〝心地よさ・気持ちよさ〟が刺激される領域が活性化していたという。
イベント ?」と考えるのは愚問だろう。
「食べるために働くこと」と「暮らしの営み」のすべてが、「食欲や排泄欲」「睡眠欲や性欲」といった「快適に生きるため・種を残すため」に必須の本能的な欲求と同じくらい〝楽しくて気持ちいい〟はずだから。
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人類250万年という長大な歴史の中で、これら「脳を喜ばせたい」という根源的な欲求を満たすべく生きる、という生命プログラムがDNAの奥深くにインストールされたのだろう。
自給自足ライフを送り、家事と子育てにフルコミットする——ぼくの個人的な直感として、この考察は正しいと断言できる✌️
https://test.osiro.it/events/caf159dbe83d
ちなみに、現在の野生動物たち——悲しいことに猛スピードで数が激減し、種が絶滅しているが——も当然、同じ原理原則(生命プログラム)に従って生きていることは言うまでもない。@--
動物のドキュメンタリーで観たことがあるだろう。
動物の子どもたちは、遊びを通して狩りを覚える。うちの庭の湖に暮らす水鳥たちは毎年子を産むが、その子たちが水草を食べる方法を最初に覚えるのは、「大好きな親が楽しそうにやってることを真似したい」と思うから。😂
ちなみに、人間や動物の脳には「ミラーニューロン」という機能があり——特に赤子や幼児期に活発に働くのだが——親や周りの大人がやってることの「真似をすることが楽しい!」という働きをする。
イベント 鳥の子たちが、潜っては水草を加えて浮上している姿を観察していると、キャッキャッと鳴きながら歓喜していることがよくわかる。「食べるため」ではなく「おもしろい!」と思って行っていることは説明不要だろう。
そしてこのことは、我が子モンキチ(今月で生後2年と9ヵ月!)を見ていてもそのことはよくわかる。ぼくの動作を真似しているときに、楽しそうなこと楽しそうなこと(最近では、言葉を必真似てどんどん覚えていく😆)。
しかし、人類は約1万年前に「農耕」を発明した後、定住して農業労働に従事し始める。遂に安定と安心を得たからと思いきや……朝から晩まで、子供から老人までがずっと畑仕事に縛られるようになる。
「食料を確実に確保できる」という安心感を得る代わりに「楽しかった狩猟採集」をやめてしまったのだ。
これが「楽しかった仕事」が「単なる労働=労役」になった最初の一歩。
これは、ぼくがニュージーランドの湖畔の森で「狩猟採集×農業」のハイブリッド自給自足ライフを12年送ってきたぼくはよく理解できる。
魚釣りという狩り、潮干狩りや森での採集は「楽しくて楽しくていまだに100%遊び✌️」だが、畑と果樹園の管理は——もちろんいまだに大好きだが——ときどき「しんどいな」と思うときがあるからだ。
イベント 、どんどん「働くこと」が喜びに繋がらなくなり、200年前の産業革命を経てからは、「労働・労役」どころか「苦役・苦痛」になってしまった。
ぼくは、人生をかけて「働くことは本来楽しいはずだ」という原点を伝えたいと思い、執筆や表現活動をしてきた。その集大成が『超ミニマル主義』と『超ミニマル・ライフ』であり、ここCampではその想いを7年半にわたり全力で伝えてきた。
https://test.osiro.it/events/caf159dbe83d
さて、話を現代に戻そう。
今の所属先や職場で「好きだと思えること」や「やってみたいこと」を任せてもらえるようになるためにはどんなことが必要だろうか。
1. どの業界や職種でも通用するベーシックスキルを身につけること
2. 仕事に対する考え方、取り組み方をポジティブに変えること
この2つが求められる。
ベーシックスキルとは「基本的なビジネスマナー」「雑務を最速で処理する技術」「効率的なスケジュール&タスク管理」「最低限のコミュニケーション能力」といったもの。
逆の言い方をすると……
「まともなビジネスマナーなし、基本的な業務スキルもなし、しかもネガティブ思考で仕事をしている人」に、大事な仕事を任せたいと思うだろうか?
ぼくだったら目も合わせたくない(笑)
まずやるべきことは、狭い業界や社内でしか通用しない無意味なジョーシキではなく、どこでも通用し、時代にも左右されない「美しきベーシックスキル」を身につけること。
長い歴史をもつ日本人独特の美意識をベースとした、気配りマナーや控えめな礼儀正しさは、世界中で通用するどころか今や賞賛される。
(その昔、アメリカの価値観が世界を席巻していた時代1980〜1990年代は、控えめな日本人の態度は否定されていたが今や違うのだ)
この事実は、高校時代にアメリカに1年留学し、その後常に海外との接点を持ち続け、65ヶ国以上を訪れ、ニュージーランドに長年暮らすぼくが保証する。
特に、欧州とニュージーランドのミレニアル世代とZ世代は、日本人の「静かさ」や「繊細さ」を本気でリスペクトしてくれる。最近では、40〜50代でもそういう人たちが増えている。
「ベーシックスキル」を会得し、実行できて初めて、上司や周りの人、会社、そして社会はあなたを信頼するようになる。
結果、より良い仕事、やりがいのある仕事を任せてくれるようになり、あなた自身をより高いレベルへ引き上げてくれるのだ。
【自分らしい仕事をつかむ「前向きな姿勢と誠意」】
ぼくはレコード会社時代に、音楽ビジネスの基礎の基礎であるレコード店営業を入社から2年間、みっちり丁寧にやった。
次に地道さと粘り強さが求められる宣伝の仕事「メディアプロモーター」を3年ほどやりながら……、〝何でも屋&ウルトラ雑用係〟ともいえる「アシスタントプロデューサー」を務め、「ベーシックスキル」を鍛え抜いた。
このベーシックスキルを身につける期間を別の言葉で表現するならば、ズバリ「見習い期間」。
どこかに勤めながら、どの業界でも通用する「ベーシックスキル」を体得するのは効率的だ。その職場を「お金をいただきながら、座学じゃなく専門スキルを実践できるビジネススクール」と考えよう。
この重要な「見習い期間」を軽視する者、適当に過ごす者は、その後ずっと何十年と苦労することになる。
ただし、ブラック企業だと「見習いだから」といいようにこき使われ、あなたの労働が低賃金で搾取されてしまうので注意すべし。
なお、ぼくの「見習い期間」は入社から5年間続いたが、これは今の時代にはマッチしないと思っている。つまり、長すぎるということ。
昔は「10年は修行すべし」なんて言う人がたくさんいたが、今は間違いなく社会構造が違うし、高速で進化し続けるデジタルテクノロジーがある。
ここまで試し読み
「見習い期間」は、長くても3年と考えよう。
ただし、最低1年間は必要だと思っておいてほしい。
見習い期間の頃のぼくは、たとえ「お弁当買ってきて」「ちょっとココ片付けて」「コピーお願い」「お茶出して」という小間使いでさえ「自分はまだ見習いだから」と適当にやらず、心を込めて本気でやった。
例えば、お弁当の買い出しは、しっかりメモを取って、買い忘れがないようするのは当然。
加えて、先輩やスタッフが何を購入したか記録することで、それぞれの好みを把握し、「いつものですね」と先回りの対応していた。
(このスキルは後のアーティストプロデュースで大いに大活躍。「四角さんは気が利くな〜」と絢香に何度言われたことか。笑)
ビジネスパーソンは、些細な気づかいや配慮に対しても「コイツはできる!」と好感を持つもの。「言われなくてもやる」「言われたこと以上のことをやる」という〝先回り思考〟は、特にこの期間に身につけるべし。
あらゆる現場でベストを尽くそうと「前向きな姿勢と誠意」を維持し続けたことで、少しずつ任せられることが増え、何年もかかって本当に少しずつ....少しずつ…ワンランク上の仕事をお願いされるようになった。
「前向きな姿勢と誠意」とは、ぼくが繰り返し言う「愛のあるポジティブな行動」のこと。
もちろん、たくさんの失敗もしたし、先輩の期待以下のタスク処理しかできないことも、何度も何度も(何度も何度も……ほんと当時の先輩ゴメンなさい🙏)あった。
特に20代では、その度に「お前はもの覚えが悪すぎる。マジ使えない、、、」と言われ続けた。
しかし、ダメでも「前向きな姿勢」と「誠意を込める」を貫いたことが功を奏して、(厳しい言葉を浴びせかけられながらも)ぼくは完全に見捨てられることはなかった。
(これは今となってわかったことで、当時はまったく気づかなかったこと🌏)
そうやって、ぼくは確実に一歩ずつ一歩ずつ、小さな階段を登っていたのだ。
ぼくが愛する1週間以上にわたるバックパッキング登山。
険しく長距離となる山道を一歩一歩、自分の足だけで進んでいくような感覚だ。
歩き始めて4〜5日目、ある山頂から出発した方向を振り返ってみると、初日に登頂した山がはるか彼方にかすんで見える。
初日のあの頂から、いま自分が立っているこの山に来るのに、車も飛行機も、自転車も使わずに「自分の足を前後させるだけたどり着くことができた」というシンプルな事実に、素直に感動して体が震える。
初日に見た、いま立っている山頂を見たとき、遥か彼方に見えるあの山まで「本当にたどり着けるのだろうか」という思いを抱いたことを思い出し、さらに感慨深い気持ちになる。
働くことも、人生も、長距離を歩くバックパッキング登山と同じ。
ぼくはそう思う。
〝先を見通して今から点をつなぐことはできない。後で振り返ってつなぐことしかできない。だから、将来なんらかの形で点がつながると信じることが大切だ〟
これはCampでは繰り返し紹介してきた、ぼくがもっとも尊敬する起業家、Apple創設者スティーブ・ジョブズの言葉。
彼がスタンフォード大で行った有名なスピーチ「Connecting The Dots(=点と点は必ずつながる) 」で、まさに同様のことを言い切ってくれている。
◎スティーブ ・ジョブズ・スタンフォード大・卒業式スピーチ・2005年
https://youtu.be/VyzqHFdzBKg
スティーブ ・ジョブズ・スタンフォード大・卒業式スピーチ・2005年
C'est Si Pont#スティーブジョブズ#スタンフォード#卒業式関連・参考動画 改訂版・ スティーブ ・ジョブズ・スタンフォード大・卒業式スピーチ・2005年 https://youtu.be/Ve9o1vM0JUk卒業式スピーチ・その後・ https://www.youtube.com/watch?v...
youtu.be
ぼくがレコード会社プロデューサーとして数々のヒットを重ね、2000万枚のCDを売った事実は、みなさんもご存じの通り。
しかし、多くの人は、ぼくが「その山頂」に立っている姿しか見ない。
ぼくは、前述した通りの積み重ねを5年以上に渡って、愚直にやり続けた。
まわりから「ダメだ。ダメだ」と言われながらも、少しずつ少しずつ、一歩ずつ一歩ずつ、山頂へ向かって歩き続けていたのだ。
ぼくの最強の武器である、多くの人を巻き込む能力やブランディングやマーケティングの技術は、ある日突然身についた訳ではない。
ぼくのスキルである、音楽や映像やビジュアルの「プロデュース技術」を、短期間で習得できた訳でもない。
「秘密の10段飛ばし」のようなウルトラCは存在しないし、人が驚く「超能力」や「魔法」を持っていた訳でもないのだ。
ただただ、目の前のことを愚直になって真摯に、丁寧に取り組むこと。
人として当たり前のことを、当たり前にやり続けること。
え?簡単じゃないって?
でも、これって「誰にでもできる」ことだよね☺️
むしろ逆に、階段の「10段跳び」ができたり、「魔法」を使える人なんていないし💦
この方法以外に、大きな仕事をやり遂げたり、ライフテーマを実現したり、長期間のバックパッキング登山を踏破する方法は、存在しない。
でも、ぼくに言わせると99%の人はやらない。
ということは、愚直にこれをやるだけで1%の「真に幸せな人」になれるのだ。
別の言い方をしてみよう。
「天才」になるのは難しいが、「愚直」になることは誰でもできる😁
ぼくは、コツコツと小さなことを積み上げていく、一歩一歩前に向かって歩き続ける行為が大好き。なぜなら、時間さえかけていれば絶対に結果が出るから。
こんな楽で楽しいことはないと思って生きている✌️
【運を引き寄せるために】
「でも四角さん、運という要素も世の中にはありますよね」
そう思われた方のために、断言しておこう。
本当の「幸運」を手にできるのは、小さな積み重ねをたゆまぬ努力でやり続けて来た人だけ。
そして、禅問答のような言い方で説明すると「それは誰もが手にできることであり、人生で最も大切で、最も難しいことでもある」。
これまで多くの「世間的にスゴいと言われる人」と仕事をしてきたが、努力をしないスゴい人はひとりとしていなかった。
階段の10段飛ばしができたり、車より早く走れたりする超人なんて存在しない。
100万人に1人くらいは、何の努力もせずに、宝くじのような幸運を〝一度だけ〟手にする人もいるだろう。
でも、そんな人は「大きな幸運を手にする人間としての大きな器」が備わっていないため、その貴重な一大チャンスを短期的な成果で終わらせてしまう。いわゆる「一発屋」だ。
(宝くじに当たって身を滅ぼす人や、成金と呼ばれる人はみんな顔色が悪いなどの例がわかりやすいだろう)
幸運を手にするための徹底した努力。幸運を受け入れられる人としての「器」の準備は、日々の努力でしか築かれない。それができていなければ、本当の意味で幸せにはなれない。
幸運によって大金を手にした人が2人いたとする。
①1人は、何の準備もしてこなかった人。
②もう1人は、お金について徹底的に勉強し、あらゆる努力をしてきた人。
言うまでもないだろう。
①の人は、お金をどうでもいいことに消費したり、人に騙されたりして、あっという間にそのお金を失ってしまう。
一度努力なしに大金を手にする経験をしてしまうと、その後まともに働いてお金をいただく気が起きず、堕落し、不幸の底に落ちていく。
そして②の人は、お金をちゃんと活用し、資産を守るべく固く運用するなどして、持続可能な形で活かし続ける。
何より、自分や家族が幸せになるために、暮らしているコミュニティがよくなるために、正しくそのお金を使い、周りまでをも幸福することだろう。
話を戻そう。
アピールのための小細工をしたり…
同僚や同期といった他人と比較に一喜一憂したり…
仕事や会社へ愚痴を言ったり…
そんなことをするヒマがあったら、小さな信頼を得るために、小さな積み重ねを続けよう。
そのためだけに時間と労力を費やし、あきらめずに創意工夫をし続けよう。
そして大切なことを伝えさせてほしい。
あなたの周りには、あなたを見てくれている「誰か」が必ずいる、ということ。
その「誰か」があなたに新たな仕事を与えたり、チャンスをくれたり、次のステージに引き上げてくれるのだ。
周囲の人たちは、あなたが考えている以上にあなたをよく見ていているもの。
そんな理解者は、たくさんいる必要はない。
たった「1人」いればいい。
ぼくがまさにそうだった。レコード会社時代の無数の幸運は、ぼくの努力と特性を見てくれていた、たった1人の理解者がいたから手にできたと言い切れる。
その1人の存在で、人生が大きく変わった経験を持つ人は、ぼくだけじゃないはずだ。
「人事を尽くして天命を待つ」
日本が誇るとても美しいことわざ。
人事を尽くさずに、天命(=幸運)を待とうとする。
人事を尽くしてもいないのに、天命が下りてこないことに不平不満を言う。
残念ながら、世の中にはそんな人があまりにも多い。
不平不満を言う時間(=命)すべてを、目の前のできることに費やす。
「愚直にやり続けられる人」だけが、素晴らしいアウトプットを生み出すことができる。
すると、気づいてくれる「誰か」の評価を得て、周囲に応援され、愛されるようになる。
そして、見習い期間が終わり、大きな業務を任されるようになったら、いよいよ、あなたのアーティスト性を発揮できる仕事に集中しよう!
ノイズに惑わされず、余計なことはやらず、脇目も振らず一心不乱に、すべてをその「一点」に賭けるのだ。
ぼくのそのチャンスは、デビュー直前のCHEMISTRYとの出会いだった。
最初はCHEMISTRY含め3組を担当することになっていたが(内緒だけど、その中にはブレイク後のthe brilliant greenもいた)上司に何度も直訴し、CHEMISTRY以外のアーティストの担当を外してもらった。
当時は一人で複数のアーティストを担当するのは普通だったので、「なぜ、あいつだけ担当が1組なんだ!」と同僚に批判されながらも、CHEMISTRYだけにすべてを投下したのだ。その結果は、みなさんご存知の通り。
ぼくがそうだったように、仕事が(そして人生が!)どんどんアップグレードされていくのは、そこから。
これこそが、ぼくが提唱したいライフスタイルデザインの真髄なのだ。
ここからは「仕事効率とアウトプットの質を高める、四角式仕事術6つのヒント」と題して、ぼくが実践してきた具体的なハックスをお伝えしていく。
CHEMISTRY:川畑 要/堂珍嘉邦
テレビ東京系「ASAYAN超男子。オーディション」で、約2万人の候補者の中から選ばれた堂珍嘉邦、川畑要がヴォーカルデュオ『CHEMISTRY』として、シングル「PIECES OF A DREAM」で2001年3月7日デビュー。
1stシングルが16週連続TOP10入りという驚異的なロングセラーを記録し、いきなりのミリオンヒット。
1stアルバム「TheWay We Are」は300万枚のモンスターヒットを記録。同年、NHK紅白歌合戦に初出場し、瞬間視聴率No1(関東圏)を獲得。『CHEMISTRY』はヴォーカルデュオの代名詞となり、CD総売上枚数は1,800万枚を誇る日本を代表するアーティストとなった。2012年4月より、メンバーそれぞれがソロ活動に専念。2017年、ワンマンライブ「CHEMISTRY LIVE 2017 –TWO-」をもってグループとしての活動を再開することを発表。再始動後、精力的に活動中。
【仕事効率とアウトプットの質を高める6つのヒント】
1. 漏れなくメモを取る
ぼくは、とにかくメモ魔だ。20代の頃はiPhoneなどなかったため、ズボンのポケットには常にペンとポストイットを入れていた。
レコード会社の本社勤務となってメディアプロモーターとアシスタントプロデューサーを兼任していた時代は、それでも追いつかなかったため、首からポストイットとペンをぶら下げるように(笑)。
その姿がおもしろかったみたいで「真面目だけどおかしなやつ(笑)」と先輩から笑われていたことを思い出す。
些細なタスク(でも重要!)や、ちょっとした仕事のコツ(これも重要なことが多い!)などは、大半が口頭で乱暴に伝えられるもの(特に「見習い期間」は!)。
だからこそ、忘れないようにすぐにメモしたのだ。
「口頭での指示→即メモ→必ず実行→周りから安心される」という成功体験から「口約束こそ忘れず実行する」が信条になった。
ポストイットにしていた理由は、デスクに戻ってすべてのメモを優先順、カテゴリー別にして、タスクノートに振り分ける必要があったから。ノートにメモを取っているとそれができない。
例えば、いろんな人に仕事を振られることが多い若手の会社員。
「ちょっといい?」というノリで突然振られる上に、口頭であることが多い。そこに大きなチャンスが眠っていることがあるもの。
〝一人前〟への第一歩は、与えられたタスクを1つも漏らさずに書き留めること。
次に「了解です。メモしました」と伝えて、仕事を与えてくれた人を安心させること。
そして当然、期日までに遂行すること。万が一遅れる時は、謝罪とともに事前に伝えること。
(今では当然すべてテキストデータとしてメモる。iPhoneアプリ1つで完璧なメモ取りとメモ整理ができるようになった現代は、とんでもなく便利な恵まれた時代)
こんな「人として当たり前のこと」をできるだけでも、まわりの人から信頼してもらえるようになる。裏技なんてないし、そんなものは一切必要なし。
逆に、どんな野望があろうと、大きなプロジェクトをやりたいという夢があろうと、このベーシックスキルが身に付いていない人には絶対に実現することはできない。
繰り返そう。
「魔法」や「奇跡」、「3段飛び」も必要なし。
なんとも簡単なことか!
さらに繰り返そう。
幸運なことに!?、この当たり前のことをできない人が大半。
つまり「やりさえすれば」あなたは、周りから一歩も二歩も抜けられるということ✌️
誤解を恐れずに言わせてもらうなら、人の信頼を得ることなんて、ある意味誰にでもできる簡単なこと。
ぼくは若い頃「よし、何のスキルもないぼくにもコレならできるぞ」と思い、意気揚々とやっていたことを思い出す😉
プロデューサーとして独り立ちしてからも、先輩や同業のプロデューサーに教えを乞うたり、彼らの動向を観察しては、彼らがやったこと、語ったことをすべてメモ。
書き留めたことをヒントに自分のプロデュースワークに落とし込める部分を考え抜いては、ひとつひとつ愚直に実行し続けた。
そして、その積み重ねの結果、配信を含めると10度のミリオンセラーを創出することができた。
そして、それはニュージーランド移住後にも大いに役に立ち、さまざまアドバイザリーやプロデュースワーク、自著のブランディングやマーケティング、このLSD.Campの運営でもフル活用することができた。
つまり、あの積み重ねは一生消えることのない「財産」になっていると言えるのだ。
Photo by Hiroyuki USAMI
2. 目の前のタスクに集中し、ひとつずつ終わらせる
メモを漏れなくとると、大量のタスクに押しつぶされそうになるタイミングが来る。
任されたタスクを効率よくこなしていくコツは、あれもこれも同時に行うのではなく、1つのタスクに集中し、1つずつ終わらせていくこと。
「今日やるべきこと」を全部書き出して、優先順の上位から1つずつこなしていく。
ちなみに「やるべきこと」は「今年」→「四半期」→「今月」→「今週」→「今日」と、長期から短期へブレイクダウンしていく手法がオススメ。
こうすることで「今日やるべき」だと思い込んでいたことが、そうじゃないことに気付けたりもする。
タスクを横に並べて同時にやろうとするから、結局何一つ終わらせることができず、1日…1週間…1ヶ月…そして1年があっと言う間に終わってしまうのだ。
とにかくシンプルに考え、愚直に行動するのみ。
まず長期的なタスクの考察から始め、次に実現するための小さなタスクを洗い出すこと。
(この順番は絶対!)
そして上記の「ブレイクダウン方式」で「1年(時に2〜3年)」から「四半期」「今月」「今週」、そして「今日」と、タスクを割り振っていく。
それが終わったら単純に「今日」の一番上のタスクだけに集中して取り組む。
終わったら2つ目に。次は3つ目...とこれを繰り返すだけ。そして、下位にあって不要なタスクは「やらなくていいこと」と判断し捨てる。
なんともシンプル!
ぜひ、ぼくのバックパッキング登山の話を思い出してほしい。一歩一歩がとんでもなく遠い山の頂へ連れて行ってくれる、あの感覚と全く同じ
スティーブ・ジョブズの「Connecting Dots(点と点は必ずつながる)」という言葉も思い出してほしい。
「そういった点と点が必ず線になって、あなたの人生をデザインしてくれるのです」
プロジェクトを複数同時にまわしているような超デキるビジネスパーソンたちも同じ。
10くらいのタスクを同時進行してそうだが、彼らもただの人間。
ぼくらと同様、同時に2人の話を聞けない、同時に2つのことができない。
最優先のタスクに集中する間は、次のタスクのことや他のことは完全に忘れて〝アーティストモード〟に入り、高い集中力で夢中になって取り組む。
そうやって、ひとつひとつを確実に終わらせているだけなのだ。
寿命があるぼくらにとって「貴重な命のカケラ」である「今という一瞬一瞬」を、たった1つのタスクに捧げるからこそ、仕事の効率もアウトプットの質も高まる。
結果として、次々と仕事が片付くだけでなく、まわりが密かに評価してくれるようになる。25年間の社会人経験と、50年以上生きてきたぼくは、迷わずそう言い切れる。
「いま目の前のことにだけに集中する」というのは、小さくてノイズレスな茶室で、ただただお茶を点てるようであり、瞑想的とも言えるだろう。
まさに「動的メディテーション」。
ぼくは、これを「マインドフルネス手法」と呼んでいる。
マインドフルネスに関しては、もうすぐやってくるこのテーマの月に詳しく解説する。
3. テクノロジーをフル活用する
先月の〈テクノロジー・デザイン〉のメソッドで伝えたように、デジタルテクノロジーを活用する理由は、「無駄な作業時間」を減らし「アーティスト性を発揮できる自分にしかできない仕事に集中するため」。
「メモを取る」というハックも
EvernoteやiPhoneメモなどのメモアプリを使えば、音声、絵、写真、テキストなど、あらゆる形でメモが取れ、漏れなく整理できるようになる。
「目の前のタスクに集中する」というハックも
Todoistやasanaなどのタスク管理アプリを活用して、今日やるべきなのか、明日や来週に回していいのかが明確になり、今すべき仕事にフォーカスできるようになる(ぼくが全タスクをカレンダー運用することは『超ミニマル主義』に書いたとおり☺️)。
などなど、他にもたくさんある。
デジタルテクノロジーが苦手な人も、大切な時間を生み出すために必要なツールと信じ、ぜひ活用してみてほしい。
「任されたことを漏れなく一つずつ確実に実行する仕組み」を構築してみよう。
ネットやデジタルデバイスがなかった時代に比べると、手間は1/100ほどに減り、精度は100倍ほどにアップしている。だからこそ、テクノロジーを利用しない手はない。
4. 不得意な仕事を手渡す
頼まれごとをされたときには、ある重要なことがある。
それは、自分ですべて抱えてやることではなく、「デジタルテクノロジー」と「人の手」を借りながら、確実かつ高いクオリティで仕事を完了していくこと。
仕事のクオリティが高い人は、人にお願いすること、任せることが上手だ。
苦手なことすべてを自分だけでやる必要はない。
その業務を「得意とする人」に、仕事の一部でもいいので手渡していくことを意識してみよう。
大切なのは、「なぜ、あなたコレをお願いするのか」をしっかり説明すること。
そして礼儀正しくお願いすることが大切となる。
ぼくは、
「後輩格の人にお願いする場合こそ、より丁寧に頼むべき」
特にそう考えている。
なぜなら、日本は儒教の考えが浸透しており「目上の人が言うことは絶対」という思い込みが激しい社会。特にブーマーと呼ばれる60代前後以上の人たちは無自覚で、自分より若い世代を見下してその価値観を押し付けようとすることが多い。
そして、年上側が普通の態度でも、年下側からすると「怖い」「高圧的」と感じてしまうことが多々あることも理解しておこう(特に男性!)。
仕事を頼んでも、萎縮させてしまうとパフォーマンスは必然的に下がる。
だから、年下の人にお願いするときこそ、より丁寧にやるべき。
「不得意な仕事」を得意な人に礼儀正しく上手にシェアし合いながら、自分の時間を「得意分野」に費やす。
その結果、より多くの人がアーティスト性を発揮でき、時間を持てるようになり、自分らしくいられる人が必然的に増える。そして、高いパフォーマンスを維持しながら働ける人も増えていくとぼくは信じている。
こうやって仕事や役割を「正しく循環」させることで、チームやプロジェクト、会社が活性化し、社会そして世界が、より効率よく美しく回っていくようになる。
これこそが、ぼくが提唱する「人が誰もがアーティスト」に通ずる仕事哲学なのだ。
5. 確実に前進する
仕事でもっとも望まれているもの。
それは、「早くやること」よりも「確実にやること」。
タスクを早く終わらそうとして、無理に前倒しの納期を宣言する人が多くいるのが日本の特徴。
しかし、上司や先輩、そしてクライアントが求めることは、確実にタスクが遂行されて、きちんとプロジェクトが進むことである。
早くできることをアピールポイントにしている人は、今日限りでやめよう。
仕事は、いつでもどんなときも長い道のり。
そう、「LSD=Long Slow Distance」。
だから、背負っている「荷物の量(=仕事)」を常に把握し、無理をしないで完了できるスケジュールを組むこと。
仕事とスケジュールをきちんとマネジメントできる人は、いつも慌ててバタバタしている人よりも信頼されるのだ。
Photo by Shotaro KATO
6. 細部にこそ、こだわる
「美は細部に宿る」。
妥協のない最高傑作を創るのは、1%にも満たない小さなこだわりである。
仕事やプロジェクトを「点画」とイメージしてほしい。近くで見ると「単なる点の集まり」だが、遠くから離れて見ると1枚の立派な絵となっている。
一つひとつの点をいかに丁寧に打つかが、全体のクオリティを決めるのだ。
その「点」をバカにする者は、何も成し遂げられない。
ぼくはそう言い切れる。
この「点画」の例は、あらゆる仕事に当てはまる。
ぼくが得意とするブランディング、本業である執筆においてもまったく同じ。
「なぜ、そんな些細なことにそこまでこだわる?」
ぼくはこれまで何百回、いや千回以上はそう言われてきた(笑)
レコード会社時代も、辞めてニュージーランドに移住してからも、いまも(笑)ずっと言われ続けていること。
本を出すときには、編集担当の人に必ず呆れられる。
「まだ、、、書き直すんだ、、、」というため息が、やりとりから何度も聞こえてくる(笑)
点画は、完成した後に思いっきり後ろに下がって全体像を眺めて、初めて「何を描こうとしていたか」がわかる。
仕事の評価は、1%にも満たない「点画」のような日々の小さなやりとりで判断される。
大抵の場合がそうであることを、ぜひ覚えておいてほしい。
そんな小さな「一点」を大切にできる人こそ「最も本気な人」「信用できるこだわりの人」という称号と信頼を得られるのだ。
駆け出しであればあるほど「え、そこまでやってくれるんだ!」「細かいねー!」と言われたらこっちのもの。
丁寧さ、真摯さ、一生懸命さこそが、近い将来の「本物のこだわり精神」につながり、信頼と実績の礎をつくってくれるのだ。
人生やらなくていいリストの帯の5回目くらいの(ゴメンなさい🙏笑)校正指示
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誰でも同じ職場環境、同じ仕事内容で働いていると、だんだん慣れてきて何でも「当たり前」にこなせるような気がしてしまうものだ。
でも、その「当たり前」が確実にできていなければ、まったくダメ。
「当たり前」を続けることが仕事の基準を引き上げ、大きな成果につながるのだ。
ぜひこの機会に自らをセルフチェックをしてほしい。
そして、ぼくがよく言う「才能を掛け算する」ことも重要。
でも、それをやる前に「仕事に対する安心感や信頼感」を高めることがとても大切になる。
最も基本的な「ビジネスマナー」と、業界を問わない「ベーシックスキル」。
どんなにスゴい才能を掛け算しても、ベースとなる信頼が「0」であれば、すべてがゼロになる。
現代は、会社員であっても複数ワークや副業をする人が増えてきている。
この二つがしっかりしている人はどこでも活躍できるだろう。
今回のメソッドは読むだけでなく、ぜひ今日から実行して体に落とし込んでほしい。
仕事と暮らしの効率を高めながら、目の前の物事をきちんとやり遂げる実行力さえ身につけば、あなたのビジョンは必ず実現するはずだ。
【今週のワーク】
1. 投稿を読んで<最も心に残った言葉>は何ですか?
2. 投稿を読んで<やってみたいと思ったこと>はありますか?
どんなに些細なことでも構いません!行動することが第一歩です!
3. あなたのベーシックスキルについてセルフチェックしてみてください。
どの業界や職種でも通用するビジネスマナー、ベーシックスキルを身につけていると思いますか? 今回のメソッドを読んで気づきがあれば、ぜひシェアしてください。
4. 意識的に「メモ魔」になってみましょう! すでにメモ魔な人は、どんな方法で、どんな時にメモを取っているか教えてください!
仕事のタスク管理だけではなく、プライベートでも、どんな時にメモをとるようにしているか、どう習慣化させたのかも含めてシェアしてください。
5. 仕事効率とアウトプットの質を高めるためにあなたが実践していることを教えてください。
ぼくの6つのヒント以外にCamperの皆さんが実践していることをシェアし合って、さらに皆でスキルを上げていきましょう。